taigaのV・ファーレン記

V・ファーレン長崎を中心にサッカー戦術について書くブログです。

長崎サポ向けにゾーンディフェンスを詳しく説明する ②マンツーマンとゾーンディフェンス

こんにちは!taiga(@vvn_Taiga14)です。

 

ゾーンディフェンスについて詳しく見ていくシリーズ第2弾をやっていこうと思います(目指すはシリーズ完結)。

このシリーズでは松田監督の攻撃時の解説はあまりしないと思います笑

 

第2回目はゾーンディフェンスとマンツーマンディフェンスのそれぞれの特徴について抑えていくことにしましょう。ゾーンディフェンスについて詳しく掘り進めるのは3回目からです(何回で完結するのかは分からない)。

 

 前回記事はこちらから

 

vvn.hatenablog.jp

vvn.hatenablog.jp

 

 

 

 

1.守備はチームで行う

 

前回の記事でサッカーには1対1のバトルが大事だと書きました。

サッカーは1対1の場面で相手との勝負が行われることが多いスポーツです。ただ、全員が全員で1対1で守りに行くと抜かれてしまった時にそのままゴールへ向かわれてしまいます。

 

そうならぬように、チーム全体でゴールを守る必要があります。フォーメーションはサッカーの攻撃のみならず、守備においても必要不可欠なものであり、各ポジションがそれぞれ役割を決めていくことで、自ずと守備の形が作り上げられていくのです。

 

サッカーは個人スポーツではなく、チームスポーツ。チーム全体が守備の意識を統一させて守ることが必要不可欠です。特にFWも守備を求められる現代サッカーは尚更です。

 

いまから説明するマンツーマンディフェンスとゾーンディフェンスはどちらもボールを中心として守りを固めていくのが基本中の基本です(前回の守備の原則はどちらでも守られる)。

 

 

2 マンツーマンディフェンスとは

 

サッカーには主にマンツーマンディフェンスとゾーンディフェンスの2種類の考え方があります。ここではまず、マンツーマンディフェンスについて説明します。

 

マンツーマンディフェンスとは、各選手が自分のマークする相手を決めて、試合中ずっと同じ選手をマークし続けてディフェンスを行うというやり方です。

 

マンツーマン=Man to man (あまりこういう表記はされない)

つまりMan(人)にMan(人)がつく1対1という意味合いでこの名前がついています。

 

(ちなみに英語だとMan to manは率直にという意味で使われるんだとか)

 

マンツーマンディフェンスはシンプルです。試合前にマークする(注意して見る)相手を決めて、試合中はその相手が動く位置に合わせて自分も動きます。

 

もちろん動く際はただ闇雲に動くのではなく、前回話した守備の原則である、ボールとゴールの中心線上に立つorボールと相手が見える位置で立つという基本原則に乗っ取りながら守備を行います。

 

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赤11は青11がマーク。赤10は青10がマーク…と言うふうに各選手がマーク相手を見つけてまーくをするというのがマンツーマンディフェンスです。非常にわかりやすいと言えます。なぜなら、自分のマークする選手をずっと見とけばいいのですから。

 

ただし、全員がマンツーマンディフェンスを行ってしまうと、例えば相手がバラバラに動いた際に自分たちも動くことで、簡単にポジションバランスが崩れてしまい、チームとしての守備が崩壊してしまうことがあります。

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極端な例ですが、自分のマークを追っかけ続けた結果、11番は1人取り残され、オフサイドラインはかなり後方になっています。かんたんに11と9の間のスペースを敵につかれて失点してしまいます。

 

そこで、現在の守備はバランスを保つために、部分的にカバーリングを行う選手を配置してバランスを調整したり、特定のキーマン選手に対して守備の得意な選手がマンツーマンで対応するといった、部分的にマンツーマンを利用するチームが多いです。実際マンツーマンとカバーリングの選手をミックスさせる戦術はかなり多く見られます。

 

 

マンツーマンディフェンスのメリットとしては

・初心者でも明確な意思を持ってマーク相手へ守備することが出来る(=わかりやすい)。

・相手の能力に合わせてマークの選手を決めることも可能

 

というところです。

 

逆にデメリットとしては

 

・全員がマンツーマンで守るとバランスが崩れやすい

・試合中追っかけ回し続けるため、体力の消耗が激しい

ということでしょうか。

 

敵の位置によって自分の位置も決まる。これがマンツーマンディフェンスです。

 

 

3 ゾーンディフェンスとは

 

 

ゾーンディフェンスは、マンツーマンとは異なります。各選手が自分の守るゾーン(範囲)を決めて、選手それぞれで受け持つゾーンに入ってきたボールや選手に対応するというのが基本的な考え方になります。

 

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極端にいえば、青11と青10がそれぞれ守る範囲が決まっており、その範囲内に入ってきたボールや選手へ守備を行います。近くのゾーンにいる選手たちは自分のゾーンにいる選手を見ながらも抜かれた後のカバーリングができるように注視します。

 

ここで、ひとつ大事なポイントがあります。ゾーンディフェンスはピッチを均等に分けたゾーンを各々が守ればいい。と考えてしまう人もいますが、それは間違いです。

ポイントは味方と味方の距離感を常に変えずにポジションをうごかしながら、うごかしながら、守るゾーンも変わる。というのがゾーンディフェンスの守り方です。

 

詳しく言います。

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このように均等にピッチを四分割にして守る。

というわけではありません。これだと一人一人が守るスペースが広大となってしまい、その選手と選手の間のスペースを狙われてしまいかんたんに崩されてしまいます。

 

あくまで守るのはゴールです。点を決められないようにするのがディフェンスの最大の目的なので、このようにピッチを四分割にしていては意味がありません。右サイドにボールがあったらわざわざ左サイドに居続ける必要はないのです。

 

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選手と選手の間は等間隔に保ちます。保ちながら各々の周辺の範囲をゾーンとして守ります。これがゾーンディフェンスです。こうすることで自分の守る範囲も限定されるだけでなく、距離感も良くなるため、スペースが出来てしまうことも防ぐことが出来ます。

 

例えば、ボールが右にある時は自分たちの距離感を変えずに、スライドして対応し、自分のゾーンを変更させながら守っていきます。

 

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マンツーマンだとこのように各々の選手につくため、各選手の間はバラバラになり、スペースがうまれがちです。

 

しかし、ゾーンになることで…

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各選手の距離感を全体的に動かすことができ、その結果、ゴール前のスペースをつくることなく、ゴール前での守備人数を多くかけることができます。

 

この際、逆サイドの選手はフリーになりますが、サッカーの試合においてロングフィードを蹴られてサイドチェンジされるケースはそこまで多くありません。

かつ、サイドチェンジをしている間にボールの滞空時間は必然的に長くなるため、その間に逆方向へとゾーンを組み直すことで簡単に逆サイドへも対応することができます。

 

これがゾーンディフェンスです。

相手の動きに左右されるのではなく、味方の位置で、自分たちの位置も必然的に決まる。

そして、ゴール前やボール周辺に十分な人数で対応することができるようになる。これがゾーンディフェンスの最大の特徴になります。

 

相手からするとゴール前のスペースは人数をかけて守られているため、攻撃しづらくサイドに流れてしまいサイドから攻撃をしなければならなくなったりと苦しいサッカーになります。(真ん中を固めていきゴール周辺の守備を強固にすることが出来れば、ゾーンディフェンスは上手くいってるといえる)。

 

だからサイドから崩すという形は日々進化し続けていたりします。長崎の試合でもたまに相手のセンターから攻めにいけないということがありますが、それは相手がしっかりゾーンを組んで守っているからなのです。

(基本4バックはゾーンディフェンスの概念を採用して守っているチームが多いです)

 

ゾーンディフェンスのメリットとしては

・一定のゾーンで守るため、体力の消耗は少ない

・スペースをあけずに、守ることが出来る。

・ボールへ対して常に数的有利での守備を行える

 

ゾーンディフェンスのデメリットとしては

 

・ゾーンとゾーンの境目でマークの受け渡しがスムーズでなかった場合、もしくはゾーンに頻繁に入られて混乱してしまいフリーの選手を作り出してしまう可能性がある(いわゆるゾーンディフェンス時のバグ)。

 

 

という点が挙げられます。

どちらのディフェンスにもメリットデメリットが存在しており、チームのスタイルに合わせてその戦術は決まっていくのです。

 

 

4 それぞれのフォーメーション例

最後にそれぞれでよく使われるフォーメーションを見てみましょう。

マンツーマンを使うチームは3バックで守ることが多いです。

3バックの真ん中にカバーリング対応の選手を配置し、フォーメーションが崩れた時のバランス調整や、守備のマンツーが抜かれたときのカバー(2枚目の守備役)として活躍します。

 

長崎も3-4-2-1を採用していた頃は部分的にマンツーマンをしいて戦ってきました。両センターバックが相手FWへマンツーマンをおこない、中央の選手がカバーリングをおこない、守備のバランスを安定化させていました。

 

そういう意味では長崎は杉様が、典型的なカバーリングの得意選手だったと思います。指示を後方からよくして、カバーリングとして自身は最終でのピンチを防ぎに行っていました。バイスもそんなタイプの選手でした。

(2人ともチャンスとあらば攻撃時に上がっていたが、その時はどちらかのワイドorボランチが少し下がり目でカバーをしており、守備バランスを崩さないようにしていました)

 

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この場合だと、赤10は青10が、赤11は青9がマンツーマンでマークをおこない、真ん中青11がカバーリングを行いピンチを防ぎにいきます。

相手が2トップor1トップの時はとくに有効な守り方だと言えます。

 

 

一方で4バックのチームは基本的にゾーンディフェンスをコンセプトに戦います。

4バックがサイドの際はしっかりズレて、ゾーンを組むことで守りを固めていくのが基本です。

 

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常にバランスが求められます。バランスよく動きながら対応する。これがゾーンディフェンスの鉄則です。

 

ゾーンディフェンスを採用しているチームはとても多いです。ゾーンディフェンスは世界的にも主流の守り方になります。ゾーンディフェンスから派生したディフェンスは沢山あります。有名なのはゲーゲンプレスとよばれるリバプールの監督を務めるクロップ監督が生み出した戦術です。ゲーゲンプレスはプレスのかけ方をよりアグレッシブに行くやり方です。

このようにたくさんの守備戦術は派生しています。

 

 

ゾーンディフェンスの基本の基本を忠実に抑えた型で松田監督は名を馳せてきました。松田監督の目指しているゾーンディフェンスは一体なんなのか。それについて考察していければと思います。

 

次回は4-4-2のゾーンディフェンスについて詳しく見ていきます。

 

最後まで読んでいただきありがとうございました。それではまた次回!!